[2004/02/22] 応急手当の訓練を受けて来ました。

昨日のレッスンでヘロヘロになったンですが、重い体を引きずって「LSO 応急手当講習会」に参加して来ました。

僕はちょうど2年前にこの講習を知り、受講したのですが、その時は震えるくらい感動しました。
それ以来、ことあるごとに回りの人にも受講することを勧めてきたこともあり、僕の知り合いの多くの人がやがてこうした講習を受講し、同じように感動しています。
そして、この重要性を理解してもらえました。

LSOとは「モータスポーツ・ライフセービング機構(http://www.asahi-net.or.jp/~rj6k-itu/)」といい、モータースポーツに関わる色々な企業や団体が賛同してできた組織で、各地で毎週のように講習会を開き、多くの人が応急手当ての訓練を受けています。
今回はJMRC関東のレース部会が主催となり、格安の料金(一人1000円)で受講できました。
講習を受けると認定カードが発行され、2年間有効となります。もちろん公的な資格ではないけれど、きちんと知識と技術を習得したという証明となるので、それなりの影響力があります。

僕は2年前に受講した期限が切れるので、その更新もあって新たにクラブ員や仲間を誘って参加しました。

今回一緒に参加してくれたのは、クラブ員で南関東後掻連合の事務局長でもあるタナカちゃん、同じく後掻練の「まくらたまむし」さん、「やまざき」さん。
講習には30人近くの人がいて、かなり盛況でした。

講習内容は、基本的にビデオを見て実習・・・・の繰り返し。
これを朝の9時から夕方5時までびっちり行います。
けっこう疲れますよ。

それにしても、参加者はホントに真剣です。
特にLSOの講習は、普段何かしらのかたちでモータースポーツに関わっている人が多いので(そうでない人も受けられます)、実習の時でも「こういう時はどうすればいいのか」といった類の質問が相次ぎます。
CPR(心肺蘇生法)などは、CPR訓練用の人形(通称:アンちゃん)を相手に、「だいじょうぶですかぁー!」とかやるんですけど、端から見たら「アホかいな・・・」と思える光景でもやってるほうは真剣です。
これが知ってるドライバーだったらと考えたら、恥ずかしがったりふざけてなんていられません。
ホント、汗だくになります。

僕は田中ちゃんと組みましたが、僕らの人形には「茶太郎」という名前をつけました(笑)。
したがって、

「ちゃたろぉ〜〜〜〜〜〜!!!
 だいじょうぶかぁーーーー!!!
 助けてやるからなぁー!がんばるんだぞーーーー!!!」

と大きく声をかけてやりました(爆)。

え?

ふざけてるじゃないかって?

違いますよ。
リアリティを追及した訓練です(笑)。


この講習は、講師の伊東氏の話術が非常にたくみでもあり、知らず知らず引きこまれてやる気になります。
非常に楽しく和やか、且つ真剣な雰囲気で訓練を受けることが出来ます。
講師の最初の殺し文句はこれです。

「私達はモータースポーツというクルマ遊びをさせてもらっている。ならばそのクルマが原因でなにかがあった時に、役に立てたらすばらしいことではないか。

医療従事者でない我々が出来ることは限られている。
しかし、救急車や医者に渡すまでの数分間が、実際には大きく生死を分ける。
「命のリレー」の第一走者がしっかり走らないと、このリレーは最後まで続かないのだ。」

と。

もうのっけから心を鷲掴み(笑)。
言葉が心を貫きます。


この訓練で僕らが繰り返し叩き込まれるのは、ひとつの言葉です。

 「私は応急手当の訓練を受けています。
  ご協力しますから、安心して下さい。」

ほとんどハッタリとも思えるこの言葉ですが(笑)、しかし、よーく想像力を働かせて見てください。

 自分がクルマに衝突して、路面に叩きつけられました。
 何が起きたんだかよく分からない。でも体が動かない。どうも道路に横たわっているようだ。
 路面が冷たい。
 助けを呼びたいけど声も出ない。起き上がりたいけど体がやっぱり動かない。
 どうしよう。
 誰もみていなかったんだろうか。
 誰も助けてくれないんだろうか。
 このままだとどうなっちゃうんだろう・・・

ものすごい不安感・・・場合によっては死の恐怖に襲われるでしょう。

そんな時に

「大丈夫ですか!私は応急手当の訓練を受けています。今救急車を呼びましたから、大丈夫です。ご協力しますから、一緒に頑張りましょう!」

って、声をかけられたらどう思いますか?

一気に生きる気力が沸いて来ませんか?

同時に、回りにいてどうしたもんかとざわめくだけのヤジウマも、この言葉を聞いて安心し、協力してくれるはずです。


前回この訓練を受けて以来、僕の中でこうした応急手当の知識・経験について思索を重ねていますが、突き詰めて言ってしまうと、応急手当の訓練を受けたからと言っても、実際に僕らができることの大半はほとんどこの言葉をかけることではないか、と僕は考えています。
こうした訓練を受けておいたことにより、事故などに遭遇した時にも「何をすべきなのか」「何をすべきでないのか」ということを「知っている」ので、回りのヤジウマより多少は冷静に対処ができる・・・くらいの効果が関の山でしょう。

でも、放って置いたら生きる気力さえ失われ、そのまま意識も失ってしまうことを考えたら、一緒に頑張って救急車を待とう!、とそう思ってもらえるだけでも充分過ぎる効果があるのです。
そして、もし仮に意識がなく心肺停止状態に遭遇したとしても、なんとか救急車に引き継ぐまでに、少しでもその人の「死」までの「時間稼ぎ」ができるでしょう。

僕たちが習うのはそのための知識と実践です。
このように「割り切った」考えで必要な訓練を施してくれるこの講習会は、大したものだと思っています。


僕はモータースポーツという、危険なクルマ遊びをわざわざ好きこのんでやっています。
だから自分が危険な目に遭う確率も当然多いし、同時に回りで危険な状態になる確率も非常に高いわけです。
そんな時に、目の前で命の危機に瀕している友達を、ただ呆然と立ち尽くして眺めているだけ・・・ということだけは避けたいと思います。

ホントならこの手の訓練は、今後危険なことをすることが分かりきっている(笑)ライセンス取得時に、できるならば義務付けた方がいいとは思います。
それでライセンス取得人口が減るようなら、それはそれでしかたないんじゃないかと思います。
安全意識の薄い人が、同じフィールドを走ることほど危険なことはありません。
むしろ、「この費用でライセンス取得に加えて応急手当講習まで受けられるのか」と、不可価値に捉えられるくらいになるのが、本来の姿じゃないかなぁと思います。

これをお読みになられた方は、何かの縁です。
ぜひ、その重い腰を上げて、LSOに問合せして見ませんか?
ぜひ、たった1日、休みの日を応急手当の訓練のために使ってみませんか?




おまけ:
習志野レーシングチームの星さんは、LSOの講習会でインストラクターを務められるくらいの知識と実践があります。万が一何かがあった場合でも、習志野さんのイベントなら生還できる可能性が高いかもしれませんね。


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