[2003/11/27]ミドルシリーズ de ノーマルタイヤ

来年のJMRC関東ミドルシリーズに、NT(ノーマルタイヤ)クラスの創設が決まった。
前回の部会で討議され、決定したものだ。
僕は、たまたまこの部会に出席していた。
なんで出席していたかは、言うまでもないことだけれど(笑)。

結論から言うと、僕はミドルシリーズへのNTクラス創設は、『時期尚早である』と思う。
またまた波紋を呼びそうなことを言っているが、現時点での僕の意見である。

ぼくがこう思う理由は2つある。

1.提案したエントラント側に、「なぜ」ミドルシリーズにNTクラスなのか?という動機付けが見えない。

2.採用した部会側に、NTクラスの意義が正確に理解されていない。

というものである。

前置きして強調しておかなければならないのは、僕は決してノーマルタイヤクラスを否定する気はないと言うことだ。
現時点の僕にはあまり必要性を感じず、理解が及ばないだけであって、決して否定する気はないし、主張するところも分かる。

・最終的にタイヤがプアなため、改造競争をしてもほとんど意味がないから、B車両とはいえ自然に適度なチューンに収斂するであろうという読み
・チューンの分練習に行ってもSタイヤよりは遥かに減らない経済性
・最近ではちょっとしたクルマ好きならマフラーぐらい換わっているのだから、そうしたクルマをジムカーナに誘うためにはB車の方が都合がいい、という意図
・そしてなにより、現在のSタイヤの恐ろしい磨耗性とコストを考えると、ジムカーナの将来に不安を感じずにはいられない

・・・そんな意図は、僕も充分に理解している。
この点はあらかじめ明記しておく。
その上での話だ。

まず「1.」について述べてみよう。
これは部会でも言われていたことなのだが、ミドルシリーズと言うのは、ベーシックカテゴリーである都県戦よりも上に位置し、かつ地区戦よりは下のイメージにある。都県戦よりも、明確にもう少し上を目指す人のためのステップアップポイント・・・という位置付けである。
しかし、ミドルシリーズより上、つまり地区戦以上の「選手権」には、現在のところNTクラスの創設の動きはほぼ皆無である。

ということで、まずはミドルシリーズに、なんら上につながるわけではないNTクラスを設ける意義が、どれくらいあるのかが疑問となってくる。いろいろ理屈はあろうが、しかし「県戦」を底辺とし、「全日本」を頂点とする「公認競技ヒエラルキー」の中では、意義を見出すことは難しい。

それは提案した人達も充分分かっているハズである。
ではなぜミドルにNTをそこまで主張するのか。

これに関しては、僕には単に「県戦で戦い飽きたので、もうひとつ上で戦ってみたい。」という理由がメインで、提案しているように見えてならない。
そこに、「ジムカーナ全体をみた視点」の欠如を感じてならないのだ。

ノーマルタイヤでのジムカーナを志した人たちは、かつて都県戦にノーマルタイヤクラスを作るために非常に熱心に働きかけ、その設置を勝取った。これは彼らの、団結した活動の賜物だと思う。
自分たちの意思・意見はこうやって実現して行くのだ、という一つのお手本であると、僕は思った。

しかし、そうであるがゆえに、自分たちの手で作り上げた都県戦のノーマルタイヤクラスに対して、責任感を持ってしかるべきだと思うのだ。

仮に、彼らがミドルシリーズに移行して専念するとしたら、その分せっかく作った都県戦のノーマルタイヤクラスに、閑古鳥が鳴くかもしれない。
これが彼らの望む姿なのだろうか。

ノーマルタイヤクラスは、たしかに今盛り上がりを見せている。というより、大きなトレンドになっている。将来的にはこれが当たり前になる可能性もあるが、しかし現時点では少なくとも、ジムカーナ競技人口全体の中で、ひとつのカテゴリーとして成立するまでの規模にはほど遠い、というのも厳然たる事実である。
これが最大の問題なのだ。
現在ノーマルタイヤクラスで戦っている選手たちがミドルに移行しても、それを補充するだけの新たなノーマルタイヤジムカーナ競技人口が生まれる、という素地はないに等しい。

僕が思うのは、こういう「地盤」をしっかり固めてから、上のカテゴリーに手を伸ばすべきではないか、ということなのである。
せっかく膨らみ始めているノーマルタイヤクラスという「風船」があるのに、誰かが穴をあけたがために、そこから空気が抜けてしぼんでしまうのではないか・・・そんな危惧を持っている。せっかくミドルにノーマルタイヤクラスが出来ても、その下の都県戦に後に続く人達が入ってこなければ、結局何年かあとにはミドルも枯れてしまうのだ。

もしそうなったら、穴をあけた人達は結局、今の自分たちが安上がりにジムカーナを楽しむため、という利己的な動機を押しつけただけではないか、と見られてしまうことになるだろう。これでは、せっかく各都県部会と築き上げた信頼関係をも自ら壊すことになる。

だから今は、もっとじっくりとノーマルタイヤ化の熱を暖める時期にあるのではないか、と僕は考えるのである。
大きく膨らんだ風船は、わざわざ穴を開けなくとも、しかるべき時期が来てしかるべき大きさになれば、大きな力を伴って爆発するものである。


次に「2.」について。

このノーマルタイヤクラスの創設に関しては、関東部会で傍聴していた印象では、正直言って受け止め方はネガティブだった。
ハッキリ言えば「なくてもいいんじゃないの?」という意見が大勢だった。理由はすでに述べたように「だって上に続くわけじゃないんだから、ミドルに作る意義がない。」というものだ。

しかし、ある発言から流れが変わった。

「台数確保という面から見れば、有効だとは思う。」

僕はこの発想に、いたく幻滅したのをハッキリと覚えている。
現在、ミドルシリーズは県戦以下のエントラント数しか確保できていない。
これついては、もっと議論すべき根本的な問題がたくさんあると思うし、なぜ一部の都県戦が多くの台数を集められるのか、という「なぜ」に対する考察はまったく行わず、物理的にクラスを水増しすることによって台数を確保しようという発想なのである。
効率を極めて利益を出すのではなく、売上や貸出を水ぶくれさせることによって表面上の利益を計上していた、どこかの国のバブル期の企業や銀行と同じではないか。

しかしこの発言で大勢は決まった。
当初消極的な意見だった部会も、最終的には「台数が確保できるなら・・・」という大義のもとに、ノーマルタイヤクラスの創設を決定した。
漢方による体質転換ではなく、点滴による体力維持の道を選んだのである。

僕は、大いなる「勘違い」を犯していると思えてならない。



ミドルシリーズにノーマルタイヤを要望した人も、それを受けた部会も、互いにひとつずつボタンのかけ違いをしている。
僕はこのかけ違いが、非常に大きいと直感的に感じたので、これを「時期尚早だ」と主張するわけである。
これが単なる危惧で終わるならそれでいい。
なんも知らないアホが、何かをほざいていたと笑い飛ばしておけばいいだけのことである。

しかし、僕のこの危惧を危惧でおわらせる方法は一つしかない。

前述したとおり、『ノーマルタイヤの競技人口のパイ全体を大きくすること』である。

「そんなの実にたやすいことだよ」と、胸を張って言ってくれる人がいれば、僕も安心なんだけど。


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